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* 毘沙門ZERO 最終話

日時: 2020/01/01(水) 21:33:34 メンテ
名前: 理海王

皆さんお久しぶりです。理海王です。
毘沙門ZERO最終話となります。
過去と未来が交差し、各人各々の野心と信念が‟暗く輝く”
それではどうぞ。
 
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* 毘沙門ZERO 最終話 ( No.1 )
日時: 2020/01/02(木) 17:02:33 メンテ
名前: 理海王

毘沙門ZERO

最終話「暗く輝く」

―8月…日本・沖縄―

一人のアメリカ軍人(アメリカンミリタリー)が沖縄の夜の街を闊歩する。
"悠々"と"堂々"と"猛々"しい遊歩である。

彼の名前は『オーガスト・オハーリー』三十路半ば。
アメリカ海軍の特殊部隊『NavySEALs』所属の隊員だ。
現在(今)は沖縄米軍基地で働いている。
彼は酒場(パブ)でマムシ酒飲んだ後でホロ酔い加減であった。
そして、彼は思う。

(HAAA…戦争(ウォー)が始まらねェかな。)

(クソきつい訓練に耐え命をかけてるのに、それに見合わないマネーを貰い続けるのは不満だ)

(中東でのテロ掃討作戦(ワーク)は最高(グレート)だった。)

(戦場はまさに地獄(ヘル)!それがたまらん。)

それは危険(デンジャー)な思想である。
彼は海兵隊にて戦闘訓練(教育)という名の燻製を受け「戦争職人」となっていたのだ。
現在(今)がある程度平和が続くため、彼はワクワク感に枯渇していたのだ。
そう彼は日常に退屈していたのだ。
退屈しのぎに夜の街を徘徊していた時だった…冷たい声が聞こえた。

「そこの異人さん。」

幼い声だった、ふと足を止める…

「血の匂いがしますね。」

少女だった…おそらくは10代…盲目か瞳孔の光はない。

しかしである

薄緑の綺麗な髪をした可憐な少女だった。
『歳に似つかわしくない艶っぽさ』があった。

「HYUUU…♪なんだいお嬢さん(リトルガール)?子供(キッズ)は寝る時間だぜ。」

オハーリーはクールにそう述べるも少し戸惑いがあった。
しかしこの女…突然何を言うんだと…何を感じたのだと。
“血の匂い”だと?
俺がアメリカ軍人だからか…?
そのような疑問が頭の中で交差している中だった。

少女は冷たく続ける。

「あなたは戦争が好きそうな顔をしていますね。」

そう述べたのだ。オハーリーは笑いながら返答する。
フランクに答えるも少し動揺していた。心の内を覗かれているようだった。

「HAHAHA!!目が見えないのにわかるのかい?」

少女も述べる。

「わかるもの。あなたは戦争屋。」

「 オ ハ ー リ ー さ ん … 」

見ず知らずの少女が自分の名前を言ったのだ。
驚愕…それは驚愕であった。何者なんだ…この娘は。

「何故俺の名を…?!」

「カ″カ″カ″…色″々″と″調″べ″て″い″く″と″君″は″優″秀″な″軍″人″だ″そ″う″じ″ゃ″な″い″か″」

…!!!!!?????

老人!いつの間にか老人が背後に立っていたのだ!!
黒い着物(ジャパニーズの民族衣装)を着ていた老人が佇んでいたのだ。
老人は静かに述べる。

「君が発表した‟効率的な新兵育成のカリキュラムについての考察”
 及び‟現代戦争における傭兵会社の活用について”など書いた論文やレポートを読ませてもらったよ。」

「なかなか独創的な研究発表であった。それに君個人のブログやSNSも拝見したよ。」

「君のような人材が欲しかったのだ。博識でイカれた軍人(軍事専門家)を。」

老人は自分が国防大学時代に発表した論文やレポートのことを知っていた。
発表した論文やレポートはアメリカ軍の在り方に対する批判めいたものとなっていたり、
軍事作戦を民間会社と協力しながらテロ等掃討作戦を行うことを薦めるものであったので、面子を気にする当時の担当教官・専門家から酷評された。
個人のブログやSNSでは偽名あるいはハンドルネームを用いて、かなり過激な戦争行為を推進する内容になっている。
即座にオハーリーは老人に尋ねる。

「ユーは何者だ…?」

「ワシの名前は『大神右兵衛』…‟真に地球の未来を想う”男だ。」

怪奇な老人はそう自己紹介する。
オハーリーはまたも問う。

「真に地球の未来を想う…ダッテ?」

「左様。この沖縄(うちなー)の海を見るまでもなく、美しき大自然を誇る青き星地球。
 それが見ろ大国の愚かな指導者達や愚民どものせいで汚れ、腐り落ちようとしている。
 色欲に走り、飽食に溺れ、老いも若きも己のことしか考えておらぬ。
 強者はより栄え…弱者は強者に踏みにじられる理不尽な浮世…
 これ意味すること、地球は何れ愚かな人類のせいで滅ぼされようとしておるぞ。」



そして老人(大神)は続いて天を指さしながらこう叫ぶ。



「今″こ″そ″大″掃″除″す″る″べ″き″な″の″で″あ″る″!!」



老人の演説にオハーリーは戸惑いながらもこう返した。

「俺は環境活動家でもなければ平和主義者(パシフィスタ)じゃないゼ?」

オオガミと名乗る老人はこう答える。

「それはわかっておる。君には愚者愚衆の掃除をする手伝いをしてもらいたいだけだ。
 理性や智慧のあるものだけが生き残ればよい。それまでの大掃除じゃて。」

側にいた盲目の少女も静かに冷たく誘う。

「あなたのような人に協力してもらいたいの。」

少女は続ける。

「それに…」

「毎日の変わらない日常に飽き飽きしてたんでしょ…?」

「戦争…起こしたくない?」

少女の冷たく甘美で高級なジェラートのような嫌みのない言葉を贈る。
オハーリーはその言葉を食し…



そして、体に電撃が走った。
『なんだ…この高揚感は…』
『今までにない興奮は!』
『この老人と少女何者かは知らぬが魅了される魔の瞳と声色だ…』



そう、この勧誘(スカウト)を受け…!

「誰かは知らねーが理解した(アンダスタン)。話だけでも聞いてやるよ。その夢物語(ネバーエンディングストーリー)!!」

オハーリーは、怪しげな何者ともしれない東洋人と冷たい女吸血鬼(カーミラ)のような少女の言葉に乗った!

怪奇な老人(大神右兵衛)は答える。

「その夢物語(ネバーエンディングストーリー)は‟時間はかかる”がいいか?」

「 O K ! ! ! 」



オーガスト・オハーリー、今宵のような静かな夜の8月(オーガスト)は
不思議と‟幸運”を呼び込む。



「カ″カ″カ″!よ″ろ″し″い″こ″れ″か″ら″始″ま″る″ぞ″よ″世″界″の″大″掃″除″が″…!」

「ええ…」

老人と少女はそれぞれ漆黒の微笑みを浮かべる。
夜空には白鳥座・琴座・鷲座が光り輝き『夏の大三角』を映し出していた。

そこには『時間がかかっても成し遂げなければならない』
‟悪意”‟欲望”‟野心”が包み込んでいた。
* 毘沙門ZERO 最終話 ( No.2 )
日時: 2020/01/01(水) 21:31:51 メンテ
名前: 理海王












―同刻…アムステラ神聖帝国の某研究所内―

「ひ、ひでぇ…お、お払い箱かよ…」

男の制服が深紅に染まる。命の輝きが消えようとしている。
側には一人の清楚な男が立っていた。
しかし、清楚であるものの拳は赤く染まっている。

「『寄生卵計画』はこれからだって時に…」

職員の側には仲間であろう研究者達の躯が無数あった。
『寄生卵計画』が始まって約2年と9ヶ月、犠牲者は多いものの成果は出ていた。

未開の惑星に送り込まれた『いくつかの寄生卵達』は現地に潜伏し環境・文化に溶け込んでいた。
その星で得た環境・資源・文化政治状況など随時本星アムステラに情報を送り続けていた。
得られた情報を基に軍部上層部は、その惑星へと侵略し次々に属星へとしていったのである。

無論…全てが成功したとは限らない。
ある者は現地人・肉食獣に殺され、ある者は過酷な環境下に耐えられず死ぬ者もいた。
『運』の要素が大きく、リスクの高い作戦だった。
この作戦は倫理・人道から著しく外れるものであった。

しかし、彼・彼女らの活躍による未開拓の地から得られる資源・技術・文化は
アムステラの養分になる(発展)をもたらしていったのだ。
そう…彼・彼女らはアムステラ発展の為に他惑星に贈られ資源を吸い尽くす‟吸血種”である。

そして上手く適応した‟種”は戦乱の火種として暗躍し‟戦争を孵化”させる。

「すまんな…」

清楚な男…セイザンは職員の男に語りかけた。
セイザンは続ける。

「テッシン達(一部上層部)にこの作戦に気づかれ始めてな…
 『知らなくてよいもの』を世に出されては不味い…‟闇”は‟闇の中で処理”しなければならん。」

「ちく…しょう。
 あ、あんたら散々俺らを利…用…しやがって…あんた…碌な死に方しね…ェぜ…」

職員の男はそう呪いの言葉を出してこと切れた。
セイザンは目を細めながら、闇に紛れていた部下を呼ぶ。

「よし…火をつけろ…ここにある資料は全て燃やす。」

「子供達はどうしますか…?」

暫し静寂の時が流れる。数年前に引き取った幼子のことを思い出したからだ。
何も知らないであろう子供達を己(大人)の都合により命を絶たなければならなかった。
‟あの子”と‟この子達”は何故こうも運命が違ってくるのだ…同じ子供だというのに。
しかし…迷っている暇はなかった。

セイザンの瞳は冷たく輝きながら部下の質問に答える。

「仕方がなかろう…殺れ。ただし苦痛なくな。」

「御意…」

……赤い炎が建物を包み込む。
その火は決して人に安らぎをもたらすものではない。
冷たく後ろめたい漆黒の炎である。

炎に包まれる小さな建物を目にしながらセイザンはふと思い出す。

あの『アトラ』という盲目の少女…無事であろうかと。

そうアトラは無事に‟青い星”に到着したはずなのだが、一度として連絡をしてこなかった。
『生か(連絡しないのか…)』『死か(連絡出来ないのか…)』否…今は深く考えても仕方あるまい。
何故…あの少女のことが気になるのだろう。
…………。

そうだ…初めて会った時だ。

彼女は盲目であったが、その瞳の奥には‟人”に対する‟絶望”があった。‟哀しみ”があった。
大きな力に屈せねばならない‟理不尽さを憎んだ瞳”があった。

私は正しいことをしているのか?
国の発展の為ならば他者を利用、踏みにじってしまわなければならないのか?
…………。
セイザンはそれ以上考えるのを辞めた。
今更、そのようなことを考えるのは愚の骨頂であったからだ。

(犯した過ちは消せぬ…『碌な死に方』は出来んだろう)
(それも覚悟の上だ)
(十字架を抱えたまま私は生きよう。)
(それが国に生きる者達の為ならば…)
* 毘沙門ZERO 最終話 ( No.3 )
日時: 2020/01/02(木) 16:50:18 メンテ
名前: 理海王












XXXXXXXXXX級・ファイリングリスト
ネーム:『寄生卵計画』
特定秘密記録:レベルAに指定

―アムステラ神聖帝国の貴族邸―

豪華な装飾で彩られた客間にて‟若い女将校”と‟カイゼル髭の男”二人だけの茶会を開いていた。
カイゼル髭の男はお茶を一口入れ、暫し間を置いた後に述べた。

「やっとこさ集められましたよ『寄生卵計画の資料』。セイザンとは数年来の付き合いがあり
 私も元々‟裏毘沙門(あっち)”の人間だったが、この計画のことは知りませんでしたよ。ええ…」

「ふふっ…‟裏”の藤宮流の古参である貴方でも知らなかったのですか。」

女将校は静かに語る。年齢は20代後半であろうか。
美しく凛とした顔立ちである。

「またまた〜…
 私は‟裏毘沙門(あっち)”の人間ですが‟生粋の軍人”じゃありませんよ。」

「軍人じゃないからこそ調べてもらったのです。‟ピエトロ”殿。」

女将校の言葉にピエトロと呼ばれた男は、カイゼル髭を撫でながらこういった。

「ふぅ…なるほどね。取り込むのならばリスクが少なそうな身内からですか。
 ですが諜報学は学問上、講義の中で教えたことがあるが、まさか自分が実践するとは思いませんでしたよ。
 それも‟自分の身内”に対して行うなんてね。」

続いてピエトロはため息交じりに語る。

「はぁ…にしても…辺境の惑星にある元研究員の別荘を探すのは大変でしたよ。
 こいつがもうボロボロの廃墟でね。まぁ元々の持ち主が10数年前に死んでるからしょうがないがね。
 屋敷の中は、もう気持ちの悪い虫はいるわ、埃まみれだわ…いやはや思い出したくない。
 セイザン達もまさか資料が残されていたなんて知る由もなかったでしょう。」

女将校は凛として答える。

「‟研究者として真面目”だったんですよ彼らは。
 研究者たるもの‟苦労して作ったものは残しておきたい”ものですからね。
 しかし…よくぞ見つけた資料ですが、これだけでは‟オスカー将軍”や‟ゾープ・バロネス”。」



「そして‟セイザン”達を断罪するには証拠が不十分ですがね。」



「そうでしょうな…あの研究施設は‟アムステラ領内の孤児達”‟身寄りのない異星人の子供”を
 教育、職業訓練を受けさせ社会復帰を目的に建てられた福祉施設なのですから。」

女将校は続ける。

「この計画が行われていた福祉施設…いえ研究所も‟火の不始末”ということで
 建物は全焼し、職員子供は全員死亡。『証拠はあっても証人はいない』という状況です。」

ピエトロも続ける。

「軍上層部相手ですから、知らぬ存ぜぬで通されて揉み消されるでしょうな。相当に闇が深い案件ですぞ。
 セイザンとは昔同じ釜の飯を食った‟あっち”の人間だったから言うわけじゃないが…」

そう言ってゴクリとお茶を飲みほした後、ピエトロは真剣な表情で語る。

「今更こんなこと調べさせてどうしたいんだアンタは…?あのテッシン様とて数年前に調査を辞めた案件なんだぞ。」

女将校は静かに…そして眼には‟暗く輝く信念の炎”を宿らせこう語る。



           「この計画を発案したセイザンを断罪し…裏毘沙門隊を解体させる為です。」



―毘沙門ZERO・完―
* Re: 毘沙門ZERO 最終話 ( No.4 )
日時: 2020/01/01(水) 23:18:41 メンテ
名前: 春休戦

オハーリはどこかで覚えあると思ったら、オシリス社の欠員幹部だったかー。 *
そこにアトラは分かるが、あの大神まで関わるとは、恐るべきサプライズ。
更に裏毘沙門の闇や、謎の女性将校まで絡みあってますます面白くなりそうな〆ですね。 *
* Re: 毘沙門ZERO 最終話 ( No.5 )
日時: 2020/01/01(水) 23:35:51 メンテ
名前: REO=カジワラ
参照: https://www.pixiv.net/member.php?id=7098022

完結お疲れ様でしたー!!アトラと、あの大神が関りがあったとは…!!
色んな線が交わり合って今があると共に、これがどう影響してくるのか、
気になりますね…ッ!!裏毘沙門の闇とか、ここでピエトロが関係してくるとか、
女将校の事とか、世界観の広がり方が凄いので、圧倒されました。

“暗く輝く”とはまさに言い得て妙…ッ!!
闇の住民達がうごめく様に感服致しましたーッ!!
* Re: 毘沙門ZERO 最終話 ( No.6 )
日時: 2020/01/03(金) 20:16:12 メンテ
名前: 理海王

>春休戦さん
やっと…やっと出せたよオハーリー。
脳内では開戦まもなくしてから死んでしまった設定だけど、
こいつがいなけりゃO.M.S.の基礎・土台はなかったという
重要人物。
女将校については、キャライメージ固まっていないけど
大人の女性を押し出していきたい。ある程度、バックボーンは決めてるんですがね。

>カジワラさん
これから点と点、過去・現在を繋ぎ自分が拡げてしまった…
否、理カラクリオーワールドを“後付”と“こじつけ”で畳み掛けたいと
思っております。
そして、やっぱり思った。私は画力が足りず、どうしても細かい表現が出来ないので
SSという形で毘沙門を締めていきたいと思います。
そう前より構想をねっていた“ドラゴンボールZ”をパクリ…
いやいや“毘沙門Z”という名で物語を終わらせる作業に入っていこうと考えております。
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