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* 南極女子高生第八話

日時: 2014/04/21(月) 14:19:07 メンテ
名前: フィール

バチカン聖堂前バトルが展開、物語も大きな岐路に立ちます。
それではどうぞ。
 
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* Re: 南極女子高生第八話 ( No.1 )
日時: 2014/04/21(月) 14:26:53 メンテ
名前: フィール

【ルガー・ロディム】

ベトナムの貧民街、路地裏にて二人のイタリア人が口論を交わしていた。
一人はサングラスをかけた胡散臭い男、もう一人には足元に子供がしがみついていた。
どうやら金の事で話し合っている様だ。

「グロロ〜ッ、忘れたか我らの目的を。信者を一人も得ぬ者に渡す金など無い。それが上の決定だ」
「しかし、最初に約束したではないか。私がベトナムへ行けば支援金を募ってくれると。
その金を少しでも回してくれたらいいんだ」
「確かにお前の名を使って支援金は集まった。剣術大会二連覇を果たした剣鬼ルガーの名は
実に効果的だったよ。だが、この金をお前の為に使うとは一言も言ってはいない」
「…なにっ!」
「ルガー、お前が悪いのだぞ。このベトナムに来てから未だ信者を獲得してないではないか。
私なら生活の保障と引き換えにこの町の子供達に改宗をさせていた」
「それでは命を盾にした脅迫と変わらんではないか!まず衣食足りて己の判断がつく様になってから
神の教えを説かねば、営利企業と何も変わらないではないか!我らは神に仕える者だ」
「チッ、めんどくさい…。もう良い、グロロ〜ッ、先程は上の決定で支援出来んと言ったがあれは嘘だ」

舌打ちをし、金を出す側のイタリア人が本音を語りだす。

「私がお前にベトナムでの布教を勧めたのは二つの考えがあっての事だ。
一つはお前の名を利用して金を集める為、もう一つはお前の将来をどん詰まりにする為よ。
グロロ〜ッ、実はこうなる事は予測出来ていた。正義感と剣しか能の無いお前がベトナムで
何も出来ん事は想像出来ていたよ。バチカンに残っておれば、あるいはこのベトナムの子供を
利用してのし上がる気さえあれば私より出世できたものを。本当にバカな男よ」

ルガーはようやく理解した。自分に助言してくれた友人がただ自分を利用しただけという事を。
この男は1ユーロたりとも一度得た金を手放す気が無い事を。

「貴様!自分の言っている事が分かっているのか!?私が今の事を法皇に言えば
お前の金も出世も無くなるのだぞ!」
「届かんさ、今のお前の言葉などな。司教の椅子に手が届く私と、実務で結果を出せぬ騎士、
お前が同期の私の出世を妬んで横領の罪を押し付けようとしていた。
いつだってそういうシナリオは作れる、それだけの人脈を築いてきた」
「ぐっ…」

ルガーは失望した。この様な男を友と思っていた事を、この様な男がのさばる教会を、
そして、それらに対して何も出来ない自分を。
ルガーは自分の服につけられた勲章を力任せに引きちぎり目の前の男に突きつけた。

「バチカンまで持っていけ、私はもう騎士団と縁を切る。これからは一人のベトナム人として生きる事にした」
「グロロ〜ッ、最後まで愚かな男よ」
「ああ、私は愚かだ。そしてこれが愚かな私から友人への…」

勲章を握りしめ、拳を振り上げる。

「最後の贈り物だっ、さらばだ、ミッション・マイルドキング!我が友よ!」
「その子が大切だろう?」

渾身のパンチは寸前で止まった。路地の向こうから複数の殺気。
マイルドキングがこうも堂々と自分の罪を告白してみせたのは権力だけでなく武力においても
絶対的な余裕があったからだ。何時でも自分を潰せる、それは文字通りの意味だったのだと確信する。

「…くっ」
「そうそう、それでいい。君は家族と小さな幸せに浸り、余生を過ごせばいい」

マイルドキングは突き出された拳をゆっくりとこじ開け、中の勲章を拾い上げる。
今のルガーは彼を殴りつける事すら出来なかった。自分の財産や地位などはどうでもよかったが
この国に来てから唯一救う事の出来た子までは犠牲には出来なかった。

マイルドキングと別れ家へと帰る中、ルガーはこれから先の事を考えていた。
自分を騙し、教会に寄生するマイルドキングは決して許しては置けない。
だが現状のまま刃向かっても返り討ちにあうだけだろう。
いや、例え大人しくしていてもマイルドキング側が自分を邪魔だと判断したなら、
それだけで終わってしまう。自分もこの地で得た息子も。

「力だ、アイツに潰されぬだけの力が必要だ。だが私ではこの子を守れない」

ルガーは電話に硬貨を入れ、以前教えて貰った電話番号へと連絡する。
この連絡先の相手も善人とは言えない、ルガーを用心棒として引き込みたいヤクザものが
置いていった名刺に書かれた番号だ。だが、他に頼れる所は無い。

「クラガネさんですか、お頼みしたい事が…」

電話を切ると、今日一日ルガーの足にしがみついたまま一言も発しなかった子供が口を開いた。

「おとうさん」
「何だい、バヌ」
「きょうはたくさんのことがありました。ぼくにはなにがあったのかよくわからなかったけど。
あのサングラスのひとはこわいひとですか?」
「大丈夫だ、もう怖くはない。それから、もうすぐ家族が増えるぞ」
「やったねおとうさん!」

◇◇◇
* Re: 南極女子高生第八話 ( No.2 )
日時: 2014/04/21(月) 14:27:43 メンテ
名前: フィール


【動く戦局】

「ほい!免罪の鎖ぃ!」

ガキン!

もう何度目だろうか、サントスパーダが鎖を投げるタイミングにピッタリ合わせて、
デフスパーダからも同じ太さの鎖が発射され、敵を捕らえるはずの鎖は相手の鎖と絡み合う。

「さあ、もっかい綱引き合戦や」

戦闘用に生まれたとはいえ今迄真面目に訓練してこなかったエヌジェイはフェルディナンドと同条件で
斬り合ったら1分と持たず負ける。だからこうやって自分の得意な距離と戦闘形式を維持し戦う。
本来のデフスパーダのパイロットだったルガーなら相手の鎖を封じての純粋な剣術戦に持ち込む所だが、
エヌジェイの場合は鎖の引っ張り合いで相手の体勢を崩し、そして!

「メーン!」

スパコーン!

刃も熱も無い、長いだけの超硬度ロッドがサントスパーダの右肩にヒット。
そして鎖を素早く解き剣の間合いから逃げる。
引いて斬る、押して斬る、焼いて斬る、エヌジェイは全部出来ない。だからこの武器だけは
デフスパーダに乗るのが決まった時にルガーと交換した。

「にしし、アンタは確かにヨーロッパ一の剣術家やけど綱引きの腕はヨーロッパ一とはいかへんわな」

動体視力、足腰の強靭さ、反応速度、この三点ならエヌジェイは勝っていた。
本来ならサントスパーダが自分の得意な戦術を相手に強いるはずの鎖、その鎖勝負に逆に縛り付ける事が
唯一互角以上に戦える手段だった。


「んー、やっぱ何度叩いてもクリーンヒット無しかいな。神父はん流石の体捌きですなあ」
「くっ、マトモに戦う気がないのか!」
「ピンポーン、別にワイはいくら時間かかってもええし。本命がそちらの本拠地を落とすまで
アンタを釘づけに出来ればええねん」
「本命…、やはりマモートが今戦っている所が本命という事か」
「さー、どうやろな。アンタの気を削いでヤケになった所でワイが特攻するんかもしれへんでぇ〜」

フェルディナンド同様、エンツォもエリンシアも普段の戦い方を行えず苦戦していた。
そしてマモートに至っては、相性の悪い機体という事だけでなく純粋な技量でも相手に上をいかれている。
四人のうち最初に決着がつくのはここだろうというのは誰の目にも明らかだった。
だが、今日このバチカンで一番追い詰められているのはフェルディナンドでもマモートでもない。

「大司教!ルガーと名乗る男の言葉にさっきからしきりに貴方の名前が出てくるのですが!?」
「なんかベトナムに行った彼に渡されるはずの支援金を大司教が使い込んだとか言ってます!」
「あの剣技は本当に我々の元同僚のルガー・ロディムとしか思えません!」
「大司教!今度は大司教が騎士用のパーツ費用を高く見積もりピンハネしてるとか言ってます!奴の言っている事は一体!?」

マモートとの戦いに余裕のあるルガーは斬り合いながら自分がいかにして信仰を捨てたか、
ベトナムで何があったのかを演説していた。それをまとめるとマイルドキングが大体悪いという事になっていた。

「ええーい!異教徒の言葉など信じるな!あいつはたまたま今日私が指揮を執っている事を知り、
私に無実の罪を被せて司令部を動揺させる事で勝とうとしている卑怯者だ!」
「しかし、何か色々と心当たりが!」
「黙れ!マモートは何をしている!早く奴の口を止めんかー!」
「マモートは精一杯やっています!相手がルガー・ロディムでしかも相性が悪そうな機体ですよ。
今も救援を待ちながら粘っている事で十分役目を果たしています!というかもっと大司教への悪口聞きたいです!」
「そ、そうだ!救援だ!まだ誰も来んのか!」

救援の気配は無かった。サントトゥオーノの甲冑型の装甲が全て切り落され、
苦し紛れに放った必殺のスローな蹴りも冷静にサイドステップで対処され『かかったなアホが!』と叫べず、
万策尽きたその時も未だ救援の気配は感じられなかった。

「さらばだマモート君、出来れば君とは同じ陣営で戦いたかった」
「そうだな、但しブラッククロスではなく騎士団で、だ」

ヤコプ・マモート(本名ジョゼフ・コステロ)31歳、バチカンの守護の任務に就き
最後まで敵の突入を阻みつつも救援の気配無く――――





――――戦死


◇◇◇
















「片手にぃー、ピストルぅ」

戦死、は、免れた。突如飛んできたブレードチェーンがデフトゥオーノのヒートソードを弾いた。

「!?」

「心にぃ 花束」

そう、奴はいつだって突然現れる。味方すら奴の近づく気配を知る事など出来ない。

「唇に火の酒」
「…、今のバチカンは貴族も注目していたからな。そりゃあ来るか」

ルガーは相手の正体に気付くが奴はそれを気にもせず最後まで名乗りをあげる。

「背中に人生を―、我が名はファントム!忍者ファントム=オーガ!義によって助太刀いたす!」

◇◇◇
* Re: 南極女子高生第八話 ( No.3 )
日時: 2014/04/21(月) 14:31:35 メンテ
名前: フィール

【スーパァァァァァヨーロッパァァァァヒーロータァァァァイム!!!!!!!】

「大司教!救援です!ファントムが来てくれました!…何してるんですか?」

司祭達が振り返ると、マイルドキングは巨大な風呂敷包みを背負ってそっと司令室から出て行こうとしていた。
ドキーンと硬直してから数秒、背負った荷物を下ろしはしなかったが悪びれなく元の位置に戻ってくる。

「まさか逃げようとしていたんですか」
「グロロ〜ッ、そんなわけあるか!いざとなれば私自身出撃しようと思っていただけじゃい!
この大司教が仲間を見捨てて逃げるとでも思ったかー!」
「すみません」
「よし、これでマモートは心配ないな。他の者達もあの卑怯者どもをさっさと攻略するのだ!」
「大司教、具体的な指示を出してください!」
「五月蠅いな、こういうのは増援と協力して戦えばなんとかなる」
「その増援は今の所ファントム一人だけですが…あっ、さらなる信号!味方です!」
「うむ、神は私を見捨てなかった」

レイピアが全く刺さらないデフネビアに苦戦するサントネビアの元に戦闘機が降り、
着陸と同時に人型へと変形した。

「ウインド…じゃねーな。ムッターさんの新型か?」
「アースクラッシャーだ。残念ながらヘンリーは別のを相手しててな。
バチカンさんの救援要請通りとはいかなかったが、目の前の奴ぐらいは何とかしてやろう」

熱による攻撃を軽減するシステムを積んだデフネーヴェを相手にエネルギーが尽きかけていた
サントネーヴェを救援しに来たのは高機動型の小型機だった。

「救援ですか?感謝いたします」
「スコットランド所属、マリアンヌ=ランスロッドです。後はお任せ下さい!」

そして綱引き泥仕合を繰り広げていたスパーダの名を冠する二機のいる地点へは―。

「あ…貴方はーっ!」
「苦戦している様だな騎士殿。少年よ、このシャルル=ド=サンジェルマンがお相手しよう」

黒天使隊の勝利は完全に潰えたと言ってもいい。
人数や純粋な戦力の問題ではない。相性の良さで築いていた優位、それが完全に逆転したのだ。

「そいや、免罪の鎖っ、ってなにぃー!」
「悪いが、我輩にはその鎖は意味を成さぬのだよ!!」

鎖を使っての有利な間合いの引き込みはデュランダールの両腕の特性の前に意味をなさず、

「ふん、やはりマトモにはあたらんか」
「フハハハハ、斬り合いを望む相手にこそでゴザル!全く忍術冥利に尽きるというものでゴザル」

一流の剣士といえども、ファントム忍術の前には翻弄され、

「くそっ、もう何でも来いってんだ」
「ならば受けてみろ、このブースターで加速したドラゴンスクリューを!」

点の攻撃なら防げる装甲も超加速から放たれるプロレス技の前では役に立たず、

「そんなぁ、まるで見えない!助けてマシュー!」
「まずは熱遮断を行う装置の破壊、そうすればサントネーヴェの攻撃も通るはずです」

重撃を耐える為に作られた機体の運動性ではランスロード系のマシンには触れる事も出来ない。
劣勢に立たされた黒天使隊の四人は徐々に大聖堂から離れていき、聖堂騎士と援軍の貴族達もそれを追う。


最早地球連合側の勝利は目前、その時、ルガーの乗るデフトゥオーノが最初に投げ捨てたバズーカを
拾い上げ再び天へと向けた。そう、いつの間にか、最初に宣戦布告した距離にまで彼らは後退していた。
そしてこのポーズ、降伏?撤退?いや違う。これは別の合図、ヨーロッパ特機パイロットの分散を確認した事を
『彼』に伝える為の合図。

「終わったな、この勝負我ら黒天使隊の敗北、そしてお前らの敗北だ」

突如、蛇の形をした無数のビットが空に舞い大聖堂前のサントレッターを狙い撃つ。
マミッタは咄嗟に十近い拳銃を取り出し半分を撃ち落とすが、残りのビットのビームは防げず
機体は大破する。そしてサントレッターが破壊されたのを確認して一機の騎士型が突入。

「行けアムステラの騎士よ。不完全な神の教えをぶち壊す為に!」
「馬鹿な、貴方は囮だったというのか!」
「そうだよマモート君。今からではもうこの場にいる誰もアレを止められん。私達は彼が突入する為の
手伝いを行っていたにすぎん。無論、今から大聖堂に向かうというのなら、まず我らを倒してからだ」

高速で迫るアムステラの新型機『晶烈華・改』。パイロットはトワイス快王。
司令部は敵の詳細は把握できてないが現在の位置からではどのパイロットも間に合わない事と
間に合ったとしてもサントレッター瞬殺した機体に勝つのは難しそうというのは理解した。

「大司教…いねぇー!」

今度は迷う事なくマイルドキングは全力で逃亡していた。大聖堂前の石畳が開き、マイルドキングが
これまで横領して来た資金で極秘に作り上げていた逃走用ジェット機がせりあがってくる。

「大司教!先程は大司教ともあろうものが仲間を見捨てて逃げるわけないと言っていたではないですか!
アレは嘘だったのですか!」
「君達、かのイエスの弟子達はイエスの死後三度に渡り彼を裏切った。つまりだ、
大司教であっても状況によっては教義を手放す事もあるわい!」
「う、裏切られた〜っ」

ルガーの演説に心を動かされはしたもののマイルドキングをギリギリで信用していた司祭達も
この発言には完全に失望する。マイルドキングは彼らの怒りや悲しみを振り切りエンジンを起動させる。

「さらばだバチカン。グロロ〜ッ、私はしばらく海外で身をひそめ隠し預金で食っていく事にしよう」
「大司教ー!今、行ってはなりません!」
「無駄だ、私は、最早この地には何の未練もないぞ」
「そうじゃなくて、巨大な未確認物体が接近してます!今飛び立つとそのジェットに直撃します!」
「ノォォォー!そこのジェットどいてどいてどいてどいて」
「ん?」

◇◇◇
* Re: 南極女子高生第八話 ( No.4 )
日時: 2014/04/21(月) 14:41:45 メンテ
名前: フィール

【ただいま!】

チュドーン!!!

マイルドキングの乗っていたジェット機は離陸直後に一瞬で消し飛んだ。
空から巨大な物質が墜落してジェット機に直撃したのだ。正にメガトン(を)キング(に)落としである。

「鳥か?飛行機か?アンドレか?」

他のヨーロッパ貴族は来てくれたのだ。司祭達がこの状況の正体とアンドレを結びつけるのは妥当な判断である。
だが、この時アンドレはイギリス戦でデフレッターが投下された後に撤退した空軍の残りをむさぼっていた。
この部隊に所属するディータはメッキーの長年の相棒でありイギリスでの作戦の後余裕があるのなら
バチカンを攻めるメッキーの隊への合流の予定もあった。アンドレがディータを倒してなかったら
ディータの合流で冷静さを取り戻したメッキーによりフェミリアが敗れる未来もあったかもしれない。

それはさておき、大聖堂前に出現したのは…司祭達には何だか良く分からないものだった。

「ヒッヒフー、ヒッヒーフー」

銀色の毛皮に包まれヌケサクっぽい仮面をつけた超大型ロボットサイズの何かが横になり
妊婦の様な息遣いで苦しんでいる。実際その腹は妊婦の様に膨らんでいた。

「や、やっぱジェット燃料飲んでも、ロボお腹に詰めてイギリスまで飛ぶのはむ、無理。
ゴメン皆、ここで一旦降ろす〜〜」

銀色の怪物の腹が裂け、氷の塊がゴロンと転がり落ちた。
氷を排出した怪物はみるみる縮んでいき、人間大になると銀色の毛も抜け落ちた。

「うひゃあ!ここ戦場ですよ!どうしましょ?」
「取りあえず、縮んだこいつ運ぶんやで」
「そうだねえ、エリカちゃんはロボが守ってくれることに期待して…全力で避難だよ!」
「おや?サムさん以外にも二名程ぶっ倒れてるのがいますよ」
「そいつらも運ぶよ!あたしら殺人者にはなりたくないしね」
「えいさ」「えいさ」「ほいさ」

氷の塊の影から三人乗りの直列型自転車に乗った男女が飛び出し、背の低い筋肉質の男が
人間になった元怪物を、鼻の高い男がマイルドキングを、背の高い女がマミッタを背負って
ロボットの入れない森林の方へ去って行った。
自転車に乗った三人は全員ブラッククロスの制服を着ていた。

残されたのは巨大な氷の塊のみ。

ピピッ、ギギギギ、ガシャン

氷の塊から電子音が聞こえるとその外見を変化させていく。
手足が生え、顔が出現し立ち上がる。その姿は氷で出来たロボと言っていい。
いや、よく観察すると表面を氷に偽装した金属製のロボだ。
そのコクピットにあたる場所には頭に巨大なタンコブを作った少女がいた。
ロボの人型への変形と共に少女は辺りの状況の変化に気づきキョロキョロと周囲を見渡す。
少女の顔の動きに合わせて氷のロボも顔を動かす。

やがて後方を見て、自分がいる場所がバチカンの大聖堂前である事に気付いた少女。

「すみませーん、ベホマ一つ下さーい」

僧侶がいる場所だから回復魔法使える人ぐらいは何人かいるだろうという実にバカな論理で
助けを求めた。実際の所助けが欲しかったのはバチカン側の方だったのだが。

と、ここまでのイベントでサントレッター大破から一分。
敵も味方も状況の変化に戸惑い完全に固まっていた。両陣営とも今動いていれば勝てたというのは
結果論である。こんな状況で動ける人がいるとすればそれは戦闘力とギャグ補正が振り切れている人物。
具体的に言えばミミー様もビシャモン先生もこの場にはいなかった。よって全員平等に硬直。
で、最初にどうにか反応をしたのはやはりこの人、トワイス・ケブレ。

「今のは間違いなくアフリカの…あの時と気配が違う気もするが生きていたのか?
いや、今はそれよりも私の前に立ちはだかるこいつだ」

トワイスは目の前の機体を上から下まで見てそして気づく。その頭部パーツに凄く見覚えがある事を。
その頭部は間違いなく純血に近い凶骨人の頭部。そして稲妻の様な眉毛、角の様に立てた耳、
トワイスはこんな顔を知っている。

「…ギャス兄さん?何で?」
「バカな事を言うなアムステラ人!」

ムッターがトワイスの発言にツッコミを入れる。

「アレはウチの妹だ!断じて貴様の兄とかではない!」(くわっ)

トワイスにとっては、これまでの出撃でもウルトラマサイやミミー様というサプライズがあったが、
今回は色んな意味で桁違いである。以前倒した怪物の腹から自分の兄に似た頭の氷っぽいロボ、
中身は頭の悪そうな少女、後ろからツッコミを入れてきた少女の兄の声を聴くと何故か殺意を覚える。
初めて聞く声だが、どういうわけかトワイスはムッターに対し理不尽に十回近くヌッ殺されたぐらいの
憎しみが浮かんでくる。もうわけがわからなかった。

「そうだ、バチカン大聖堂に到達しなければ」

何とか当初の目的を思い出し、氷の塊っぽい何かに向かって問う。

「見たところアムステラの機体にも地球側の機体にも見える、君の所属を聞こう」
「安心して下さい!私は通りすがりのすっげー頼れる味方でーす!」
「だからどっちの味方かと!」
「正義の!」

言葉が通じなかった。トワイスも地球陣営も全員が頭を抱えた。だが、もうシリアスは帰ってこない。
ここからは理不尽がまかり通る豪華絢爛の消化試合。悪党の言い分タイムは終了し真の主役の時間だ。

「エーリーカー!!!!何しに来た、というかどこで何やってこうなった!」
「スマホで送った通りだけど」
「んなもん出撃してからは読んどらんわ!読んでたとしても分かるかこんな状況!」
「大丈夫だって、アニキの心配は無用。良く分かんないけど、コイツ倒せば色々帳消しだよね?
ジェット壊した事とか南極基地に穴開けた事とか!」

エリカはトワイスに向かって構えと共に叫ぶ。

「主役、交代!!」

(続く)
* Re: 南極女子高生第八話 ( No.5 )
日時: 2014/04/21(月) 14:48:30 メンテ
名前: フィール

エリカ「ここからのお話!
すげえ力を得た女子高生が敵の強そうなのを相手するよ!
周りの雑魚っぽいのは貴族チームが何とかするよ!
今迄敵側に感情移入してた皆も応援よろしくー!」
エヌジェイ「なんでやねーん(泣)」
ルガー「主役には勝てんのだ」
エヌジェイ「いや、ワイ主役やから!」
エリカ「私が到着するまでのね」
はい、というわけでようやくクリスタルカイザーの戦いにこぎつけました。
次回トンデモバトルスタートー。
* Re: 南極女子高生第八話 ( No.6 )
日時: 2014/04/22(火) 03:05:32 メンテ
名前: カジワラ
参照: http://www.pixiv.net/member.php?id=7098022

マ・マイルドキング腐れ外道だ、グロロ〜ッ!?
元ネタも外道だったけど、コイツも勝るとも劣らぬ程の外道だぜ・・!!

にしてもマモート、一瞬ホントに死んだかと思った。勝てる気しなかったモノなぁ〜。
しかし救援が豪華。ファントム、ムッター、マリアンヌ、サンジェルマン。これだけ来れば流石に負ける気がしないッ!
ムッター、グレート・ムタの如く、ドラゴンスクリューするのにも燃えたなぁ〜ッ!!

高速で迫る晶烈華・改!逃げ出すマイルドキング!!そんな中遂に真打が現れると言うのも燃える!!
遂に来たね、エリカ・ペンドラゴン!!次回対決楽しみにしております〜!!
* Re: 南極女子高生第八話 ( No.7 )
日時: 2014/04/22(火) 07:54:27 メンテ
名前: 春休戦

おぉっ。ここまで揃って、改めて確認すると(現)クリスタルカイザーのキーワードがすっげー嵌ってくるな。
・・・変な事を口走って『やっちゃった快王』を更新すんなや?トワイス。(www

そしてディータがまさかの『とっつぁん死』か。相変わらずハゲタカ戦法なアンドレ。ぶれないなぁ彼奴も。(w

そしてエリカ・・・この場合、色々帳消しになるのは罪状じゃなくて、手柄だ。(www
* Re: 南極女子高生第八話 ( No.8 )
日時: 2014/05/02(金) 00:46:04 メンテ
名前: フィール

>ファントム、ムッター、マリアンヌ、サンジェルマン
今回の戦いは大舞台ですので地上型特機乗りの貴族勢ぞろいをやってみたかったのです。
ブラッククロス本とマイルドキングのセリフで登場フラグは作っておいたので割と自然に出られたかなー。
>トワイスのやっちゃった伝説更新なるか
トワイスのうっかり力とエリカの理解力の戦いになる予感です。

では次回。
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