window
トップページ > 記事閲覧
このエントリーをはてなブックマークに追加
* ブラックストライカー 第2話(後編)

日時: 2011/02/24(木) 01:22:20 メンテ
名前: ぶんろく

後編、もとい敵編です
 
Page: [1]
* Re: ブラックストライカー 第2話(後編) ( No.1 )
日時: 2011/02/24(木) 01:34:45 メンテ
名前: ぶんろく

現在――――国連開発機構 英国支部 地下ブロック


「お久しぶりです所長・・・・・・・こいつの開発具合は、どうですかね?」
「現段階で、目標の三割弱」

機体の整備・乗降時に用いるクレーンアーム式の梯子車の上には、二人の男が立っていた。
一人は、開発機構の守備隊用のパイロットスーツに身を包んだ、いかつい顔つきをした大男だ。
粗暴な外見とは裏腹に、寸分の隙もない繊細な注意力が放たれている。
そしてもう一人は、現代科学の最高峰であるこの組織にそぐわぬ格好をした男だった。
よく整えられた金髪と髭、ぞんざいな着こなしのスーツ。ビジネスマンというより、プロのサッカー選手あたりにいそうな容姿だった。

「とりあえず羅甲――――現在運用されている、比較的新しいバージョン二つ三つに関しては、最低限のコントロールが出来るようになった。だが・・・・・・実戦投入となるとまだまだ厳しい。カスタム機、ワンオフ機には全く対応できないしね」
「半年かけた割には、全然じゃないですか」
「おいおいおい・・・・・・効果範囲が限定されているとはいえ、根幹から技術の異なるアムステラの機動兵器にアクセスできるんだ。快挙だよ、快挙?褒められて然るべき事なんだよ?」

ただそれが実用化までに膨大な予算と期間を費やすというだけで、いとも簡単に計画が却下されてしまうのが社会だった。
いや、その二つこそが何にもまして重要なのだろう。

「完成すれば、アムステラに対し最も効果的な切り札となるというのに・・・・・・お偉方はこれだからいけない・・・・・・」

男はぼやき、本来厳禁であるはずの煙草を吹かしながらタッチパネルを操作―――――連動して、目の前に聳える白い巨人の胸元まで、自分達の乗るバスケット部分を上昇させる。
更に十メートルほど上から、二対、計四つのカメラアイが二人を見下ろす。スーツの男は目を合わせて律儀に挨拶をし、コクピットブロックとはまた別の、もう一つのハッチに貼り付けられた厳重封印のテープに視線を移した。中には、他機とは比較にならないほどのサイズと容量、そして処理速度を持つ大型量子コンピューターが格納されていた。

第三種 総合電子戦支援 人型機動兵器――――機体名称『ホワイトピラー』。
三本の大型ブレードアンテナから発信される量子コンピューターウイルスにより、戦域内に存在するマシンを支配下に置くことが出来るという、恐るべき能力を備えた『スーパーロボット』だ。
ただし、一重にウイルスとはいっても、インターネットを飛び交うそれのような感染力は持っていない。
最新技術の塊である人型兵器――――特に異星のマシンである操兵に、遍く通用する強力なウィルスの作成など、そもそも不可能であった。

よって、感染対象となるのは、この英国支部に詳細な解析データが存在する機体のみに限定されていた。一機体毎をピンポイントで狙い撃ちにするウイルスというわけである。
現在ウイルスが通用するのは、開発機構内でデータ公開の行われている1型から7型、それに世界の一部量産機が数台というところだった。
本来対象とするべき操兵は、非改造の純正羅甲ですら危ういレベルにある。

永きに渡りアムステラの主力量産機を務める羅甲は、年代による相当数のバージョンが存在し、内部の伝送系もそれそれで大きく異なる。この誤差にウイルスを対応させるために数十機分のデータを採取して、現在ようやく、比較的新しい羅甲のみに通用するウイルスが完成した所だった。
現段階でも場所さえ選べば一度や二度は活躍してくれるだろうが、前線投入――――安定した結果を出すには、更に多種の鹵獲が進まなければ話にならない。もちろん、プロテクトを破り解析できる事が前提条件で、かつ一機種につき数十のサンプルが必要である。アムステラへの脅威となるにはまだまだ、年単位での歳月を要するだろう。

支部所長であるスーツの男、マウザー・ハインシュタットは遅々として進まぬ計画に、夢の見過ぎなのか?と自重するような笑みを浮かべた。
* Re: ブラックストライカー 第2話(後編) ( No.2 )
日時: 2011/02/24(木) 01:38:40 メンテ
名前: ぶんろく

「量子コンピューター自体にもまだまだ欠陥が多いし・・・・・・これのスペックアップも予算をかけなきゃならない。ほんとに、いつ完成するんだか」
「ははは・・・・・・そっちの認可も取らないといけませんね。おかげで二ヶ月前は散々でしたよ」

開発機構の本部に送りつけた仕様書には、この『ウィルス』は全く別の形で記載されている。
理想的なフォーメーションの構成、パイロット負傷時の緊急操作etc・・・・・・外部操作による戦域内の味方機への総合的な操縦サポート。
現段階で十分実現可能な、けして嘘ではない内容だ。
実際、そうして上の調査をパスし、開発予算と施設外での運用テスト許可を取得していた。
もっとも、ウィルスを試すためには周到な準備―――というか外的要因に頼るところが多く、実戦でのテストは二回のみに留まっているが。

「羅甲に発信したはずのウィルスが、その時交戦していた基地の部隊にも適用されて・・・・・・アレにはさすがの私も肝を冷やしました」
「大丈夫だよ。ウィルスプログラムには俺の母親ぐらい口うるさく『ホワイトピラーには攻撃するな』ってコマンド打ち込んでるから。どんなバグでも絶対にどれかが参照されるはずだ・・・・・・って毎回言ってるでしょ」
「いや、発覚の可能性ですよ。私の失態ですが・・・・・・生存者を出したじゃないですか。あれから、ちゃんと隠蔽工作は行ったんですか?」
「あの戦闘結果は未確認機体の仕業。・・・・・・今のところは、それ以上の問題には発展していない。ただしもう、英国(ここ)では使えないだろうがね」

マウザーからは、ホワイトピラーの所行に対する罪悪感らしきものは微塵も感じられなかった。
書類の書き損じ程度の、そんな、あたかも取り返しが付くような程度にしか顔色は変化していない。
乗り手は自分であったにも関わらず、言葉とは裏腹に粗野な笑いを崩さない大男も大概だったが。

「まぁ、そういうわけでさ・・・・・・・今の仕事を片付けたら、しばらくホワイトピラーを米国支部に移そうと思うんだが。君がいない間、他にも色々面倒事が起きたし」
「先月、スパイが摘発された件ですか?それなら向こうで聞き及んでいますが・・・・・・」
「悲しいことに、また別件さ」

神様の嫌がらせか?とマウザーは嘆息して、自分の持つ携帯端末を操作する。
そして、ブックマークしてあった過去のニュースを二件、大男に見せた。いずれも軍事関連、EU内で起きたテロ行為の報道だ。

「・・・・・・最近、近隣諸国でアムステラの襲撃に紛れて目的不明のテロが起きてる」
「テロですか・・・・・・このご時世に?」
「そう定義されているだけで、連中の目的は不明だがね」

国連量産機を駆る所属不明の部隊によるテロ事件。三週間前はオランダ空軍基地、先週はフランス海軍基地がそれぞれ周辺施設を攻撃されて機能不全に陥っているという。どちらもすぐ近く、英国の海を挟んだ向かい側だ。
目撃証言こそないものの、襲撃部隊は潜水艇所持の可能性が高いとされていた。この支部は結構な内陸部に存在するのだが、だからといって危機感を持たないわけにもいかない。場所が近い以上、何かしらの形で影響が及ぶ事もあるのだから。

「おそらくは同一部隊・・・・・・しかも二回とも軍の追撃を振り切って逃げ延びている。手練なのか、指揮者が有能なのか、はたまた運が良かっただけか・・・・・・何にせよ、アムステラの侵攻幇助だけは止めて欲しいもんだ。自分達の首を絞めるだけだってわからないのかねぇ」
「艦艇持ちって事は、バックに誰か付いてるかもしれませんよ」
「あぁ、そういう・・・・・・しかしどちらにしたって、部隊か首謀者のどちらかが捕まるまでは危険ということだ。非常時受け入れの言い訳になるから、俺達には悪くない話なんだが」
「ですが空路も危険ですよ?大西洋・・・・・・海の真ん中ですと、アムステラの奴らも容赦ないですし」

一応、マウザーは一支部の所長として、輸送時に軍から護衛を依頼する権限もあるし、彼らに守秘匿義務を課すことも可能だ。
が、余所に借りを作るのは望ましくないし、情報漏洩のリスクも可能な限り避けたい。せいぜい空軍から戦闘機小隊を派遣して貰うのが限度だろう。残りは、そう――――自分の手持ちから出す他なかった。

「『ヴァルオン』で、君が護衛してくれればいい。英国支部が開発した、8型との開発競争に敗れた可哀想なマシン・・・・・・無いよりは幾分ましだろう」
「もう試作一号機以外は廃棄したんでしょ?勿体なくないですか・・・・・・?」
「出番があれば、だが。お偉方を見返すいいチャンスになる。そう悲観したものじゃないさ」

ホワイトピラーの方は『見返すどころの話じゃない』がね、とマウザーは内心で苦笑混じりに呟いた。
* Re: ブラックストライカー 第2話(後編) ( No.3 )
日時: 2011/02/24(木) 01:39:48 メンテ
名前: ぶんろく

●あとがき

何か変な兵器が誕生してしまいました・・・・・・
操るというチート臭さにどこまで制限をかけるかが悩み所でしたが、多分この設定だと(ワンオフの操兵やスーパーロボットに対して為す術がないので)大丈夫な、はず(?)。
自分自身も「これはねーよ」と思っているので、やり過ぎと感じたり指摘されれば後々何かしら設定変更するかもしれません。

あと、感想レス返しを

>>カジワラさん
量産機同士の接戦・・・・・・!の次に、何だかトンデモ兵器を出してしまってすごく申し訳ないです(w
まだ普通の戦闘はあるかと思いますが、ホワイトピラーに対しては6型では通用しないので、相応しい戦いを今から考えておきます。


>>フィールさん
一話の戦闘は「あれから何とか無事に逃げ切りましたよ」的な終わり方で、続きはないです。すごく申し訳ないです。 仮に狩闇の中で死者が出てもレイブ以外反応しなさそうな気が・・・・・・


>>fanさん
レイブはマニュアル野郎(!?)なので通常戦闘に対しては割と正確な一手を指せますが、逆に全てが想像の外であるスーパーロボット(クラスの操兵)と戦うと、スパロボのDC兵のように挙動不審になるかと(w 


>>春休戦さん
いきなり変な方向に話がシフトしてしまって申し訳ないです ラスボス(?)ということで通常のミリタリー感覚で倒してもらっては困るので変にスーパーしてしまいました。

作品のイメージとして将棋(狩闇)対チェス(ホワイトピラー)みたいなのを薄らぼんやりと考えてるけど、今のところ全く活用できていません・・・・・・
また一ヶ月後あたりに投稿できれば、と思います。
* Re: ブラックストライカー 第2話(後編) ( No.4 )
日時: 2011/02/24(木) 21:47:12 メンテ
名前: カジワラ

これが・・・目的ッ!そして戦う訳ッ!!
うーん、レイブの過去を知り、倒すべき敵を知り、
いよいよと物語の大まかな全貌が見えて来て、どうなっていくのか?と言うのが気になりますね・・・ッ!!
Page: [1]
 
BBコード
テキストエリアで適用範囲をドラッグし以下のボタンを押します。
装飾と整形

フォント
この文字はフォントのサンプルです
リスト
標準  番号付  題名付

スマイリー
表とグラフ
データ入力
ファイルから入力(txt/csv)
要素の方向:
横軸の数値:
横軸の値 例:2009,2010,2011,2012
直接入力
凡例
カンマ区切り数値 例:1,2,3
横軸の値 例:2009,2010,2011,2012
オプション
出力内容
グラフタイプ
区切り文字
縦軸の単位例:円
横軸の単位例:年度
マーカーサイズ
表示サイズ
確認と適用
Status表示エリア
プレビュー
絵文字
連続入力
外部画像
  • 画像URLを入力し確認ボタンをクリックします。
  • URL末尾は jpg/gif/png のいずれかです。
確認ボタンを押すとここに表示されます。
Googleマップの埋め込み

  • 説明
  • 説明
確認ボタンを押すとここに表示されます。
HELP
題名 スレッドをトップへソート
名前
E-Mail
URL
添付FILE 文章合計600Kbyteまで
パスワード (記事メンテ時に使用)
コメント

※必須
画像認証
     (画像の数字を入力)

   クッキー保存